「明日の神話」を渋谷へ… メキシコでこの「明日の神話」が発見されてから、もうかれこれ5年です。
ご存知の方も多いかと思いますが、この「明日の神話」は、メキシコのとあるビッグなホテルの建設のために太郎さんが約40年前に制作した作品でした。
それが、そのホテルが建築中にも関わらず破たん、幅30m・高さ5.5mもある「明日の神話」は、ついには行き場がなくなってしまったというわけでした…。
それをずーっと、日本に戻したいと願ってきた敏子さん。2003年に奇跡的に再発見されるまでは、メキシコの暗い倉庫に無造作に保管されて、バラバラにされていた「明日の神話」。
ちょうどその頃、私は運良く敏子さんと一緒にお仕事させて頂いたため、毎日のように敏子さんにお会いしていました。
「明日の神話」が見つかったとき、
『「やっっっと会えた! こんなところに居たのね、太郎さんっ!」って言ったのよ、あたくし!』と敏子さんが見つけたときのことを直後に話してくれました。
敏子さんは、太郎さんでした。本当にそう思います。
太郎さんには生前お会いできなかったけど、私は敏子さんを通じて太郎さんにもお会いしていたように思います。太郎さんに恋していたような。
「あなたも太郎さんみたいな人見つけなさいね」と少女のように幸せそうに笑う敏子さんを、私は心から羨ましく思ったものでした。
そんな敏子さんが亡くなる直前まで、莫大なお金がかかる「明日の神話」プロジェクトのために必死に活動して、「出来る限りのたくさんの人の眼に触れなきゃいけない作品」を、この渋谷に持って来れたという事実に、私は感無量でした。
太郎さんの「殺すな」という作品にも通じる、この「明日の神話」は、今のこの腐った世の中に警告を与えるために、あの日にメキシコで敏子さんの前に、ひょこっと顔を出したように感じます。
ああ! どうしよう! 嬉しい!
これからは毎朝あそこを通れば、いつでも太郎さんと敏子さんに会えます。
敏子さん。おめでとうございますーっ!
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